『キラキラ☆プリキュアアラモード』 「大好き」が重なる時間の尊さ

現行作の『ハグプリ』もクライマックスというこのタイミングなのだが、ふと「『プリアラ』って素敵な作品だったなあ」と思ったので書くことにした。

 

プリアラ』は「大好き」という気持ちをテーマにした作品だった。『プリアラ』の魅力は?と聞かれたら、アニマル×スイーツをモチーフにした可愛いキャラデザ、後期エンディング曲の妙な中毒性、エピソードで言えばゆかりの弱さとあきらの優しさがみえる25話、いちかと母親の関係性を描いた31話、キュアワッフルが登場し、活躍する39,40話など沢山思い浮かぶが、やはりこの作品の最大の魅力はこのテーマをしっかり描いていたところだと思うのである。『プリアラ』では、いわゆる最後のお当番回でそれぞれが自分の道を見つけ、最終話では最終決戦から数年後の姿が描かれた。
いちかは大好きなスイーツで色々な人を笑顔にするために世界を回り、過去の経験からスイーツが大好きという気持ちを表に出せずにいたひまりはスイーツ科学の道へ、あおいは家庭の事情やメンバーの脱退も乗り越えバンド活動を継続、何事にも面白みを見いだせなかったゆかりは楽しいことを見つけることに能動的になり、スイーツ留学を経て異国へ、病気の妹をもつあきらはその病気の治療法を見つけるために医者の道へ、シエルはピカリオとの過去の軋轢も乗り越え2人でスイーツ作りを続けるという姿がそれぞれ描かれた。全員が自らの「大好き」と改めて向き合い、あるいは「大好き」を見つけ、それに向かうというエンドがとても印象的だった。
最終的にそれぞれが選んだ道はバラバラではあるがその選択には間違いなくキラパティで過ごした時間が欠かせなかったはずである。長い人生で見ればほんの短い時間ではあるが、みんなの「大好き」が重なり、ともに過ごした時間があったからこそ、その先の「大好き」へ踏み出すことができたのだ。そう考えるとこの物語を追ってきた視聴者としては感慨深く思わざるを得ない。また、46話のいちか母の「今は大好きという気持ちで十分」や、49話のキラパティと自分の夢との間で葛藤するいちかに対する「大好きを諦めないで」というメッセージもまた素敵だ。なにをするにも始まりにあるのは「大好き」という気持ちだし、その気持ちはそうそう諦めるべきものではない、そんなメッセージが『プリアラ』にはある。もちろん現実世界は「大好き」だけでうまくいくほど簡単にはできていないだろうが、それでも「大好き」に向き合うこと、誰かと「大好き」が重なることの尊さを感じさせてくれる『プリアラ』はとても素敵な作品だと声を大にして言いたい。なんたって、「”大好き”がいちばんのマストアイテム」なのだから。